
前回の第1話「家づくりでSNS迷子になる人へ|後悔しない情報収集のコツ」では、SNSは便利な情報源である一方、見れば見るほど不安が増えたり、他人の価値観に引っ張られてしまったりすることがある、というお話をしました。
そして大切なのは、「たくさんの情報を集めること」よりも、「自分たちが何を優先したいか」を明確にすることだとお伝えしました。
この家づくり3部作の第2話では、もう少し具体的に踏み込んで、SNSで人気の間取りやデザインをそのまま取り入れても本当に住みやすいのか、という点を考えていきます。
SNSには、おしゃれで開放感のある住まいがたくさん並んでいます。
明るいリビング、回遊できる家事動線、仕切りのないオープンな空間、コンパクトで洗練された平屋。どれも魅力的に見えますし、「こんな家にしたい」と思うのは自然なことです。
ただし、ここで忘れてはいけないのが、その家が建っている地域や、そのご家族の暮らし方までは見えにくいということです。特に宮城のように、冬の寒さや季節ごとの気温差を考える必要がある地域では、見た目の良さだけで判断すると、住み始めてから「思っていたのと違った」と感じることもあります。
今回は、SNSでよく見かける人気の間取りや住まい方を例にしながら、宮城で家づくりをする際に気をつけたいポイントを初心者の方にも分かりやすくご紹介します。
SNSは“暮らし”ではなく、“一場面”を切り取っていることが多い
まず知っておきたいのは、SNSに投稿されている家の写真や動画は、あくまで暮らしの一場面であるということです。きれいに整えられた空間、光が差し込む瞬間、おしゃれに見える角度が切り取られていて、生活感が意図的に見えにくくなっていることも少なくありません。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。家づくりの参考として見るなら、とても分かりやすく、理想をイメージする手助けになります。ただ、その写真の奥にある「実際の暮らし」まで見えているわけではない、という視点はとても大切です。
たとえば、すっきりとしたオープン収納は写真では美しく見えても、日々の片付けが苦手なご家庭には負担になりやすいかもしれません。広く見えるリビングも、冷暖房効率や音の問題まで写真から読み取るのは難しいものです。つまり、SNSで見えるのは「映えるかどうか」であって、「自分たちにとって住みやすいかどうか」とは別の話なのです。
だからこそ、SNSで見つけたアイデアを取り入れるときは、「これ、おしゃれだな」で止まらず、「実際の暮らしではどうだろう」「宮城の気候でも快適だろうか」と、一歩踏み込んで考えることが大切になります。
開放感のあるリビングは素敵。でも宮城では性能とのセットが前提です
SNSで特に人気なのが、窓が大きくて明るく、視線が抜ける開放感のあるリビングです。天井を高くしたり、大きな窓を設けたり、外とのつながりを感じられる設計は、たしかにとても魅力的です。家族が集まる空間として、広々としたLDKに憧れる方も多いと思います。
ただ、宮城でこうした空間をつくるときに大切なのは、断熱性能と窓性能をきちんと考えることです。関東以南の比較的温暖な地域では成立しやすいプランでも、冬の寒さがある宮城では、そのままだと「ただ寒い家」になってしまうことがあります。
大きな窓は光を取り込める反面、熱の出入りもしやすい部分です。断熱性の低い窓を使うと、冬は冷気の影響を受けやすく、夏は日差しで暑くなりすぎることもあります。せっかく開放的にしたのに、冷暖房費がかさんだり、窓際だけ寒かったりすると、日々の暮らしの中ではストレスになってしまいます。
もちろん、開放感のあるリビングそのものが悪いわけではありません。むしろ、きちんと対策をすれば宮城でも十分に実現可能です。窓の性能を上げること、断熱性能を高めること、日差しの入り方や方角も考えて計画すること。そうした工夫を前提にすることで、見た目の魅力と住み心地を両立しやすくなります。
家事動線は“まとめればいい”わけではない
SNSで人気の間取りのひとつに、家事がしやすそうな効率の良い家事動線があります。たとえば、キッチンの隣にファミリークローゼットを置いたり、脱衣所と収納を近づけたり、洗う・干す・しまうを最短で済ませられるようにしたりと、見ているだけでも便利そうです。
実際、家事動線を考えることはとても大切です。日々の負担を減らす意味でも、家づくりの中で優先度が高いご家庭は多いでしょう。ですが、ここでも注意したいのは、動線をまとめすぎると、別の問題が出ることがあるという点です。
たとえば、キッチンのすぐ近くに衣類収納を設けると、食べ物や調理のにおいが気になることがあります。脱衣所の近くに収納をまとめるのも便利ですが、湿気対策や換気を考えておかないと、使いにくさにつながる場合があります。図面上ではきれいに見えても、暮らし始めると意外な不便さを感じることがあるのです。
大切なのは、「家事動線が短いこと」だけを正解にしないことです。においは気にならないか、湿気がこもらないか、家族全員が使いやすいか、生活の時間帯が重なっても困らないか。こうした点まで含めて、自分たちの暮らし方に合っているかを考える必要があります。便利そうに見える間取りほど、実は丁寧なすり合わせが大切です。
仕切りのないオープンな間取りは、音・におい・冷暖房効率も考える
仕切りの少ないオープンな間取りも、SNSではとても人気があります。空間がつながって見えるので広く感じられますし、家族の気配も感じやすく、おしゃれな印象も出しやすいからです。コストを抑えながら広く見せやすいという面もあり、魅力を感じる方は少なくありません。
ただし、オープンな間取りは、見た目の開放感と引き換えに、暮らしの面ではいくつか注意点があります。まずひとつが音です。テレビの音、キッチンでの作業音、子どもの声、生活音が空間全体に広がりやすく、落ち着いて過ごしたい時に気になることがあります。来客時にも、生活感が隠しにくいと感じるかもしれません。
もうひとつは、においです。キッチンでの調理のにおいが家全体に広がりやすく、収納の場所や換気計画によっては、思った以上に影響を受ける場合もあります。そして、宮城の家づくりで特に見落としたくないのが、冷暖房効率です。空間がつながっているぶん、きちんと性能を考えておかないと、夏も冬も効率が悪くなりやすいのです。
これも、オープンな間取りが悪いということではありません。大切なのは、地域や性能に合わせて工夫することです。断熱仕様や窓性能、適切な冷暖房計画を考えたうえで、必要に応じて格子や建具などで視線だけをやわらかく遮る方法もあります。高気密高断熱住宅だからこそのデメリットです。
完全に閉じるのではなく、採光は取りながら落ち着ける空間にするなど、方法はいろいろあります。見た目だけではなく、実際の過ごしやすさまで含めて考えることが重要です。
コンパクトな平屋や吹抜けは、音の問題まで考えておきたい
近年、SNSでも人気が高いのがコンパクトな平屋です。ワンフロアで暮らしが完結しやすく、家事もしやすそうで、コストも抑えられることから、将来を見据えて平屋を希望される方は宮城でも増えています。確かに、平屋にはたくさんの魅力があります。
ただ、コンパクトにまとめるほど、間仕切りが少なくなり、音の問題が起こりやすくなることがあります。生活音が家全体に伝わりやすく、「思ったより落ち着かない」と感じることもあるのです。特に高性能・高気密な住宅では、外の音が入りにくい反面、室内の音が意外と気になることもあります。
また、平屋だけでなく、リビング階段や吹抜けのある家でも音の伝わり方には注意が必要です。さらに、吹抜けの近くやリビングの近くにトイレがある場合、使う音が想像以上に響くこともあります。SNSの写真では、その開放感やデザインの良さに目が向きますが、音の問題は写真からはなかなか分かりません。
こうしたことは、取り入れてはいけないという意味ではなく、先に知っておくことが大切だということです。家族構成や生活時間、静かに過ごしたい場所があるかどうかによっても、感じ方は変わります。おしゃれさや人気だけではなく、自分たちの生活にとって何が気になりそうかを考えておくと、後悔を減らしやすくなります。
SNSの人気間取りを「憧れ」で終わらせないために
ここまでお伝えしてきたように、SNSで人気の間取りやデザインには、それぞれ魅力があります。だからこそ、多くの方が惹かれるのだと思います。ただし、その魅力をそのまま受け取るだけではなく、自分たちの地域・暮らし・性能・予算に合うかどうかまで考えることが、家づくりではとても大切です。
特に宮城で住まいを考えるなら、断熱や窓性能、冷暖房効率、換気計画といった目に見えにくい部分を無視することはできません。見た目が素敵でも、冬寒くて過ごしにくい家になってしまっては本末転倒です。家事動線も、短ければ短いほど良いとは限りません。オープンな空間も、広ければ広いほど快適とは限りません。
大切なのは、「SNSで見た通りにできるか」ではなく、どうすれば自分たちに合う形で取り入れられるかを考えることです。そうすれば、SNSの情報は不安のもとではなく、理想の暮らしを形にするためのヒントになります。
まとめ|人気の間取りほど、その地域で本当に快適かを考えることが大切です
SNSで人気の家は、見ているだけでわくわくしますし、家づくりの参考としてもとても役立ちます。けれども、その家が本当に住みやすいかどうかは、写真や短い動画だけでは分かりません。暮らし方、地域、断熱性能、窓性能、換気、音、におい、予算。そうしたたくさんの条件が重なって、はじめて「住みやすい家」になります。
今野工務店では、SNSで見つけた理想を否定するのではなく、「宮城で快適に暮らすにはどうアレンジすればいいか」という視点でご提案しています。
「この開放感、取り入れられますか?」
「この間取り、宮城でも寒くないですか?」
「家事動線は便利そうだけれど、実際どうですか?」
そんなご相談を一つずつ整理しながら、見た目だけでなく、暮らしやすさまで含めた家づくりを一緒に考えていきます。
なお、このテーマは3部作でお届けしています。
前回の第1話では、SNSとの上手な付き合い方と、後悔しない情報収集の考え方についてお話ししました。
次回の第3話では、「SNSで見つけた理想の家、そのまま真似して大丈夫?上手な取り入れ方」をテーマに、SNSの憧れを現実の住まいに落とし込む方法や、住宅会社への伝え方、理想を形にするコツについて詳しくご紹介します。
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